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2026
クライアント:野々市運輸機工株式会社
トータルディレクター:吉崎努(MiKS)
ディレクター:松下秋裕(MiKS)
ユニフォームプランナー:遠藤能元・平原結菜
ユニフォーム製作:シタテル株式会社
写真:鶴見絵里沙(Life is wonder)
物流業界の「2024年問題」を皮切りに大きな転換期を迎えるなか、ひとつの節目として2026年6月に60周年を迎えた野々市運輸機工。これまで同社は、M&Aによる事業拡大や、対話を中心とした社内風土の改革を推し進め、変化を恐れない強固な組織基盤を築き上げてきました。
北陸から物流の未来をリードする企業を目指すなかで、より強い社会認知と新しい価値提供を行うための起点として、メモリアルイヤーである60周年にスタッフユニフォームを刷新。それに伴う周年スローガンの策定からデザイン監修に至る一連のトータルディレクションを、MiKSにて担当しました。
【コンセプト】:「ストリート」と「誠実さ」の融合による変革の象徴
「物流業界のイメージを覆す一番星」となることが、当プロジェクトにおける大きな使命でした。日々、荷物の積み込みから配送までを行う現場スタッフとともに幾度もワークショップを重ね、導き出したコア・コンセプトは、一見相反する要素である「ストリート × 誠実さ」の融合です。
ストリートウェアであるコーチジャケットを彷彿とさせるルーズなサイズ感や、ワークウェア特有のタフなステッチワークで表現する、“個人”として「かっこよくありたい」というストリートの感性。一方で、首元を正す襟や比翼仕立て、プレスラインの効いたスラックスなどで表現する、"組織”として「信頼・安全」を担保する誠実さ。
「どこにデザインが存在しているのか分からずとも、確かに美学が宿っている」――そんな、日々の暮らしに溶け込みながらも自慢できる、新しい時代のワーキングスタイルを定義しました。
【意匠性・快適性・環境性・メッセージについて】
① ディテールにデザインを宿す、緑色のステッチ
ヴィンテージワークウェアの文脈を取り入れた力強いステッチワークに、コーポレートカラーである「緑色」をさりげなく施しました。過度な主張を抑え、目を凝らしたときに初めて「そこにデザインがある」と気づく仕掛けにすることで、日常に溶け込む匿名性と、野々市運輸機工としての確かなアイデンティティを同居させています。
② シートベルトの違和感を軽減する、比翼仕立てのドットボタン
ジャケットのフロント部分には、ボタンを生地の裏側に隠す「比翼仕立て」を採用しました。ノイズを削ぎ落としたミニマルな視覚的美しさを叶えると同時に、ドライバーがシートベルトを着用した際の突っかかりや違和感を大幅に軽減。スムーズな着脱と運転時の快適性を両立する、現場の所作から導かれた機能美です。
③ 屈伸運動の負荷を解消する、ガセットクロッチ
パンツの股下部分には、クライミングウェア等にも見られる独自の立体裁断「ガセットクロッチ」を配しています。重量物や長尺物を持ち上げる、あるいは深く屈伸するといった、同社が強みとする特殊案件の過酷な動きに対して生地の突っ張りをおさえます。美しいシルエットを維持したまま、現場スタッフの機動性を最大化する実用的な意匠となりました。
④ 未来へメッセージを送る、インナータグ
地球環境への保全を重視し、東レの循環型リサイクルポリエステル「Ecouse®」や、高い伸縮性を誇る「Primeflex®」を全面に採用し、構成素材で企業姿勢を表現。さらに、衣服としての機能美を追求すると同時に、ジャケットのインナータグには、経営指針書や幹部へのヒアリングから紡ぎ出した60周年スローガン【もっと、原点に。今日も「ありがとう」】を配置しました。未来の仲間にとっても、この節目をどのような想いで迎えたのかが衣服を通じて伝わる、誇りを文字通り「身に纏う」仕掛けとなっています。
野々市運輸機工は、コーポレートスローガンである「人をつくる。未来をつくる。」を最上位概念に掲げています。当プロジェクトでは、ユニフォームという新たな媒体を通して組織が一丸となり、これまでの物流のイメージを内側から刷新していくことを目指しました。
仲間を思いやる「ありがとう」の気持ちとともに、60年のあゆみを次の未来へとつないできた同社は、これからも社会のインフラを力強く支え、物流の行く先を引っ張っていく一番星であり続けることでしょう。
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