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瀬戸内海に面する穏やかな空気感が漂う広島県安芸津町の自家焙煎のコーヒーショップ「安芸津歳實コーヒー」。店主の歳實氏は、安芸津町の瀬戸内海に点在する7つの島々にまつわる伝説を後世に伝え続けたいという想いでつくった、コーヒードリップバッグセット「瀬戸内安芸津七島巡」のコンセプトからパッケージデザインをお手伝いした。今回、トータルディレクターとしてMiKS inc.のパートナーでもあるArchTankの林恭正氏と共同で歴史や風景のリサーチを重ね、安芸津町の空気感が香りと共に伝わるようなものをテーマにして考えた。 安芸津町の歴史を紐解いていくと、奈良時代から海上交通の要衝となり水と土壌が豊かな天下の銘醸地「広島酒の祖」ともいわれた。今回のデザインにあたり、まずは安芸津町にコーヒーを切り口とした興味を持ってもらうという比較的ライトな影響を与えたいと考え、歴史を文章として伝えるのではなく写真やグラフィックとして「空気感」を伝えることにした。個別のコーヒーバッグのグラフィックには、これまで使われていた水墨画家藤原六間堂氏による安芸津の七島を描いた風景をもとに、7種類のコーヒーに合わせて色味を変更して各商品のビジュアルによる差別化を行なった。同封されているリーフレットは、ジャーナルとも言えるような柔らかい印象をもたせ、7種のコーヒーバッグの説明だけではなく、安芸津町・歳實コーヒー・店主の想いといった情報をビジュアル的に落とし込んだ。さらに、安芸津町の入念な現地リサーチを経て、同町に点在する「色」を抽出した固有色を設定した栞を同封することで、空気感をコーヒーと共にお届けする仕掛けを採用した。 安芸津の豊かな土壌と水を赤色と青色として表現し、パッケージには安芸津町の湾を一望した写真と共にその空気感を伝えている。窓抜きされている箱には、上述したリーフレットデザインを変えることで空気感をフレキシブルに変えていける仕掛けとし、今後の展開が楽しみなプレイヤーが集まりつつある安芸津町の変わっていく様に対応できるようにした。 同店の建築設計を行なった林氏が建築分野でないところまで越境し、トータル的にディレクションを行うことで、より強固なブランドになっていくことを強く感じる共同プロジェクトとなった。

2023

クライアント
安芸津歳實コーヒー

ディレクション
林恭正(ArchTank)

アートディレクション・デザイン
吉崎努

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